住まいの修繕で怪異を解決する―『営繕かるかや怪異譚』

『営繕かるかや怪異譚』(角川書店)は小野不由美のホラー小説です。

 小野不由美と言えば、『残穢』(新潮社)が映画化もされ話題となりました。こちらの作品は、ある女性が借りた部屋で起きる心霊現象を皮切りにホラー作家の「私」がその真相を追っていくドキュメントホラー小説です。

 今回ご紹介する『営繕かるかや怪異譚』も、人の住む「家」とそこで起きる「怪異」がキーワードとなっています。共通したテーマはありますが、この『営繕かるかや怪異譚』は怪異に対して、お祓いや怪異の真相を究明するといった方法ではなく、「家を修繕する」とう方法で解決していくという特徴があります。

 物語で営繕を担当するのが、「営繕 かるかや」の尾端(おばな)という青年です。物語は住人の視点から描かれますが、タイトルにもある通りこの尾端がこの小説の主人公です。ホラー小説で解決のために尽力する人物と言えば、霊感のある人物や心霊研究に関わる人物が一般的です。しかし、この尾端という青年は霊感もなければ専門家でもない、正真正銘の営繕屋なのです。

 『営繕かるかや怪異譚』には6つの物語が収めされていて、尾端は6件の住人からそこで起こる不気味でありまた恐ろしい出来事を聞き、その怪異が生活に障りの無いように家を修繕していきます。追い出したり倒したりするのではない、営繕屋らしい向き合い方が、この『営繕かるかや怪異譚』の魅力です。

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