『脳はこんなに悩ましい』で知る、知ることの楽しさ

理系の情報には興味があるのですが、もともと得意なジャンルではないので疎いままです。この本のような内容も、真面目な文章だったらとても読みこなせないと思います。  脳科学者の池谷裕二先生と、小説家でエッセイストの中村うさぎさんの対談という形式で書かれています。ふたりとも難しいことをわかりやすく話してくださるので、読んでいてとてもおもしろいです。知らないことを知るというのは楽しいことだと思わせてくれます。 人の脳についてというより、自分の脳のことでもあるのですが、知らないことばかりです。 このような対談が成立す... Read More

重松清「赤ヘル 1975」

最近面白く感じた小説は、重松清の赤ヘル1975です。この小説では、赤ヘル軍団と呼ばれるように強いチームとなった、プロ野球の広島カープが初優勝した1975年に、 広島の3人の少年の友情をからめて描いた青春物語となっています。 この物語には、広島の中学校で学校生活を送っている、地元広島育ちの少年ふたりと、主人公である東京からの転校生であるマナブかま登場します。このマナブは、お父さんの仕事の為、全国各地をてんてんとして暮らしています。 そしてせっかく中の良い友達が出来た広島から、おとうさんの仕事がうまくいかなく... Read More

「友達の数は何人?ーーダンバー数とつながりの進化心理学」の感想

「友達数は何人?ーーダンバー数とつながりの進化心理学」は、イギリスの進化心理学・人類学者であるロビン・ダンバー氏の著作です。 学者としてもかなり著名な作者さんで日本国内ではNHKの人類学についての特集番組に出演し人類の歴史について研究内容から番組へ助言するなどして広く知られています。 だからといってこちらの本はガチガチの学術書というわけではないのが魅力です。高校生くらいの生物学の知識でも読むことができるように非常に情報を汎化してわかりやすく噛み砕いて説明してあります。身近な例を示して説明されるため、心理学... Read More

青春のように、いつまでも胸にあり続ける『風が強く吹いている』

お気に入りの作品はたくさんあり増えていく一方ですが、私の中ではもう何年も、上位に居続けているのが、三浦しをん著の『風が強く吹いている』です。 ストーリーは、ひとことで言ってしまえば、「陸上未経験者も含む出来立ての駅伝部が、たった10人だけで箱根駅伝を目指す」お話。これだけ聞けば、駅伝を知る人にとっては、鼻で笑うものです。有り得ない、でしかないものです。お正月の風物詩であるあの箱根駅伝を目指し、ずっと練習を積み重ねてきたものにとっては、ファンタジーもいいところでしょう。当然、作中でも、読者が持つツッコミは満... Read More

すばらしい新世界

イギリスの小説家オルダス・ハクスリーの名作です。いわゆるディストピア小説の元祖に位置する作品で、SF界の古典であるにとどまらず、英文学のオールタイムベストでも上位に挙げられることの多い古典です。無数のSF作品が本書から影響をうけて誕生し、現代日本のアニメやゲームなどにもその影響を見つけることができます。 舞台となるのは未来の世界。そこでは、あらゆる感情がコントロールされ、苦痛のない安楽な社会が実現しています。苦痛や不安を感じそうなときはソーマと呼ばれる薬を服用し、精神の安定をすぐに取り戻すことができます。... Read More

住まいの修繕で怪異を解決する―『営繕かるかや怪異譚』

『営繕かるかや怪異譚』(角川書店)は小野不由美のホラー小説です。  小野不由美と言えば、『残穢』(新潮社)が映画化もされ話題となりました。こちらの作品は、ある女性が借りた部屋で起きる心霊現象を皮切りにホラー作家の「私」がその真相を追っていくドキュメントホラー小説です。  今回ご紹介する『営繕かるかや怪異譚』も、人の住む「家」とそこで起きる「怪異」がキーワードとなっています。共通したテーマはありますが、この『営繕かるかや怪異譚』は怪異に対して、お祓いや怪異の真相を究明するといった方法ではなく、「家を修繕する... Read More